捻挫を繰り返すのは「くせ」ではありません|立つのも不安定だった17歳の実例|熊谷市の接骨院が解説
2026年07月31日
足首の捻挫を繰り返す。部活のたびにまた捻る。「捻挫がくせになっちゃって」と本人も周りも言い始めている。
熊谷市の当院には、そうしたご相談があります。特に多いのは、部活をしている学生さんです。
先に、いちばん大事なことをお伝えします。捻挫は「くせ」にはなりません。繰り返すのには、体の側にはっきりした理由があります。
この記事では、その理由と、電気とマッサージだけでは戻らなかった17歳に当院が取った、少し変わったアプローチの実例をお話しします。
■ 「捻挫がくせになる」の正体——癖ではありません
捻挫とは、関節を支えている靭帯が、関節の正常な範囲を超えた動きによって傷つくことです。足首の捻挫では、内側にぐねっと捻ったときに外側の靭帯を傷めることがほとんどです。
「くせになる」と言われる状態の正体は、性格や不注意ではなく、次の2つだと考えられています。
ひとつは、靭帯が緩んだまま落ち着いてしまったこと。傷ついた靭帯が伸びた長さのまま固まると、関節を止める「ベルト」が緩いままになります。
もうひとつは、足首のセンサーの働きが落ちること。靭帯には、関節がどの向きにどれだけ動いたかを感じ取るセンサーの役割があります。捻挫でこの感覚が鈍ると、「今、捻りそう」という察知が遅れ、踏ん張りが間に合わなくなります。
繰り返し捻挫をしている方の体では、感覚や運動の反応に低下が見られることが、複数の研究をまとめた報告で示されています。しかも興味深いことに、捻ったほうの足だけでなく、反対の足にも影響が及ぶことがあると報告されています。
つまり「またやっちゃった」は、気の緩みではなく、緩んだ靭帯と鈍ったセンサーによるものと考えられます。だから、精神論では止まりにくいのです。
■ なぜ電気とマッサージだけでは戻らないのか
捻挫のあと、痛みそのものは電気や安静で引いていくことが多いです。ここに落とし穴があります。
痛みが引くことと、靭帯が支える力を取り戻すことは、別の話です。
緩んだ靭帯そのものは、揉んだり電気を当てたりするだけでは締まらないと考えられています。痛みだけを追いかけて「痛くなくなったから復帰」を繰り返すと、緩みとセンサーの低下は残ったまま、捻挫の回数だけが増えていくことになりかねません。
回数を重ねるほど靭帯はさらに緩み、不安定さが増していきます。この悪循環が「くせ」と呼ばれているものの中身です。
最初の捻挫のときに、適切な固定でどれだけしっかり回復しきるか。実は、ここでその後の何年かが決まると言っても言い過ぎではないと当院は考えています。
■ 実例:立つだけで不安定だった17歳——あえて「固定する」という逆の選択
当院の実例をお話しします。
17歳の学生さんでした。足首の捻挫を何度も繰り返した結果、靭帯が緩みきって、立っているだけでぐらぐらして転びそうになるほどの状態でした。
それまでは別の院で電気やマッサージを中心としたケアを受けていたそうです。ご本人のお話では、しっかりとした固定をした記憶はないとのことで、来院時の足首は靭帯が緩んだ状態でした。長く良くならなかったつらさを抱えての来院です。
当院はまず、体の中心の軸と足の軸を整えることから始めました。ただ、それだけでは緩みきった靭帯そのものは変わらないと判断しました。
そこで取ったのが、通常とは逆方向のアプローチです。
普通、施術は硬くなった場所を「緩める」方向に行います。しかしこの方の足首は、緩みすぎが問題でした。だから逆に、あえて固定して、関節が固まろうとする体の性質を利用する方針を取りました。時間が経つと関節が固くなっていく——普段は困りものであるその性質を、良い位置で固まってもらうために使ったわけです。
半年ほど継続した結果、あれほどの不安定さは半分以下まで落ち着いてきました。
この実例でお伝えしたいのは、「緩める施術」と「固める施術」は正反対で、どちらが正しいかは状態によって決まる、ということです。硬すぎるのか、緩すぎるのか。そこを見分けずに一律のメニューを受け続けても、緩んだ足首は変わりません。
| 足首の状態 | 起きていること | アプローチの方向 |
| 硬すぎる(動きの制限) | 関節や筋肉が固まって、正常な動きが出ない | 緩める・動きを取り戻す |
| 緩すぎる(不安定) | 靭帯が伸びて、関節を支えるベルトが効かない | 固定して支えを取り戻す・センサーを育て直す |
| 混在している | ある方向は硬く、ある方向は緩い | 方向ごとに対応を分ける |
■ 自分で確かめる目安——こんな状態は「くせ」が進んでいます
次の項目に心当たりが多いほど、足首の支えが弱っている可能性があります。
・でこぼこ道や芝生で、足首がぐらつく感じがある
・暗いところや階段の下りで、足元に不安がある
・片足立ちが、捻ったほうの足だけ明らかに苦手
・「捻りそうでこわい」感覚が動きの中でよぎる
・過去1年で2回以上、同じほうの足首を捻っている
とくに最後の項目に当てはまる場合は、痛みの有無にかかわらず、一度足首の状態を確認することをおすすめします。
■ 部活を続けながらどうするか
「休めば良くなりますか」と聞かれれば、休むことで炎症や痛みは楽になります。ただ、捻挫の繰り返しについては、休むだけでは解決しにくいところがあります。緩みとセンサーの低下は、休んでいる間に自然に戻るとは限らないためです。
部活を続けながらであれば、当院は次の順番で考えます。
まず、練習中の固定です。テーピングやサポーターで、捻れる方向の動きを制限します。これは「痛くないから外す」ものではなく、支えが戻るまでの間の外づけのベルトです。
次に、固定に頼りきりにしないための、支えを取り戻す取り組み。片足立ちなどのバランスの練習は、鈍ったセンサーの再教育として意味があるとされています。
そして、捻ったときの応急対応を家庭で共有しておくこと。捻った直後は冷やして固定し、「歩けるから大丈夫」で済ませないことです。
■ サポーターとテーピングの考え方
サポーターについては、「頼ると足首が弱くなりませんか」というご質問をよくいただきます。
当院の考えはこうです。緩みが残っている時期のサポーターは、弱くするものではなく、さらなる捻挫を防ぐための保険です。捻挫をもう1回してしまうことのほうが、サポーターをつけて過ごす期間よりも、足首にとってはるかに大きな痛手になると当院は考えています。
ただし、つけていれば解決というものでもありません。外づけの支えに頼ったまま、内側の支えを育てる取り組みをしないと、外した瞬間に元の不安定さが顔を出します。「守りながら、育てる」。この両輪だと考えてください。
■ 放っておくとどうなるか
繰り返す捻挫を放置した場合に起こりやすいのは、次のような流れです。
捻挫の回数が増える→そのたびに靭帯や軟骨に小さな傷が積み重なる→足首をかばう動きが定着する→膝や腰など、別の場所に負担が移る。
当院の記録を見返しても、10代で症状が出た方は、同じ場所を繰り返すか、痛む場所が増えていくか、どちらかの形をとることがほとんどでした。足首は体のいちばん下にある土台なので、ここが不安定だと、上に乗っているもの全体に影響が及びやすくなります。
若いうちは回復が早く、痛みがすぐ引くぶん、「もう大丈夫」と判断されやすいところがあります。それがこの症状のいちばんの難しさだと、当院では感じています。
■ 先に医療機関で確かめてほしいサイン
次のような場合は、施術より先に医療機関で調べていただくことをおすすめします。
・捻った直後から体重をかけられない、歩けない
・くるぶしの骨そのものを押すと強く痛む
・腫れと内出血が強い
・数週間たっても腫れや痛みがはっきり残っている
・足の甲や指にしびれがある
捻挫だと思っていたら、剥離骨折など骨の損傷だったというケースは実際にあります。とくに成長期のお子さんは、骨の端の軟骨部分が弱く、大人と同じ捻り方でも骨側が傷つくことがあります。レントゲンでの確認を優先してください。
部活をしているお子さんの体については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
部活の子の腰が痛い、休ませるべき?|答えを先に言います、休ませるべきです|熊谷市の接骨院が解説
https://taiyo-kumagaya.com/2026/07/31/student-club-low-back-pain-kumagaya/
足まわりの痛みについては、こちらでも整理しています。
インソールを入れても足裏の痛みが引かない方へ|熊谷市の接骨院が伝える足底筋膜炎と「道具の前に確かめること」
https://taiyo-kumagaya.com/2026/07/24/plantar-fasciitis-insole-shoes/
■ よくある質問
Q. 捻挫がくせになると、もう治らないのですか。
A. 「くせ」の正体は靭帯の緩みとセンサーの低下であり、状態に合ったアプローチで変えていける余地があります。当院には、立つのも不安定なレベルから半年で不安定さが半分以下まで落ち着いた17歳の記録があります。ただし時間はかかります。
Q. ふだん痛みは出ていないのに、よく捻ります。施術の対象になりますか。
A. なります。痛みがない捻挫の繰り返しこそ、靭帯の緩みとセンサーの低下が疑われる状態です。痛みが出てからではなく、繰り返しの段階でご相談いただくほうが、選択肢が多く残っています。
Q. 子どもの捻挫はすぐ良くなるから放っておいて大丈夫と聞きました。
A. 痛みが引くのは早いことが多いです。ただ、痛みが引くことと支えが戻ることは別です。繰り返しているなら、回復しきる前に復帰するサイクルに入っている可能性を考えてください。
Q. サポーターはずっとつけたままでいいですか。
A. 緩みが残っている時期の練習中は、つけることをおすすめします。同時に、外してもぐらつかない足首を育てる取り組みを並行し、段階的に手放していく形が理想です。
Q. 整骨院と病院、どちらに行けばいいですか。
A. 捻った直後で腫れが強い・歩けない場合は、骨の損傷の確認のため先に整形外科をおすすめします。骨に異常がないと確認された後の、繰り返す不安定さへの対応は当院にご相談ください。
Q. どんな施術をするのですか。
A. まず、足首が「緩みすぎ」なのか「硬すぎ」なのかを確認します。そのうえで、緩みが問題なら固定を軸に、硬さや軸のずれが問題なら整える施術を軸に、状態と逆をやらないことを最優先に組み立てます。
■ まとめ:繰り返すのは、最初の捻挫が回復しきっていないことが多いためです
捻挫を繰り返すのは、くせでも不注意でもありません。緩んだ靭帯と、鈍った足首のセンサーという、体の側の理由があります。
だからこそ、やることも決まってきます。今の足首が緩みすぎなのか硬すぎなのかを見分けること。緩んでいるなら、守りながら支えを育て直すこと。そして次の捻挫を、テーピングやサポーターでできる限り防ぐこと。
「くせだから仕方ない」で片付けずに、一度、足首の状態を確かめてみませんか。
熊谷市で繰り返す捻挫・足首の不安定さにお悩みの方は、熊谷たいよう接骨院のLINEからお気軽にご相談ください。
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【著者情報】
田島 陽平(たじま ようへい)/治療家・株式会社キュアクオリティ代表。柔道整復師として20年以上の臨床経験を持つ。整形外科・接骨院勤務を経て独立し、埼玉県深谷市・熊谷市で2院を経営。カイロプラクティック歴15年以上・オステオパシーを組み合わせた独自の施術スタイルで、坐骨神経痛・腰痛・肩こりなど慢性症状でお悩みの方のサポートを行っている。現在は国際基準のフランス式オステオパシーを学んでいる。
【参考文献】
Bilateral Sensorimotor Impairments in Individuals with Unilateral Chronic Ankle Instability: A Systematic Review and Meta-Analysis.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11001848/
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療行為や診断を行うものではありません。症状が重い場合や長期間続く場合は、医療機関へのご相談をお勧めします。
